Room of Berluti
*ベルルッティの誘惑*

「靴を磨きなさい。そして、自分を磨きなさい」 by オルガ・ベルルッティ

フランスの上品なエスプリと、イタリアの妖艶とも言える色気を併せ持つ、たぐいまれなる創造物。

ベルルッティ、靴好きの間では常にその名を囁かれ続け、靴の芸術作品、宝石とも呼ばれる珠玉のブランド。

クラシック(=究極のエレガンス)性を保ちつつもロング・ノーズを特徴とする独創性のあるデザイン(エドワード・グリーン、ジョン・ロブ、ラッタンツィなど、世界有数のブランドにすら影響を与え続けている)、艶かに輝くヴェネツィア・レザー、そして芸術の域にまで達したパティーヌ(ベルルッティ秘伝の染色法)と、他のブランドにはない特殊性によって、靴業界において確固たる地位を築いたベルルッティ。 僕は今、この靴の美しさと色気に夢中です。

 

 

といっても、普段はNEWROCK(ニューロック)とかのごつめを好んで履いているわけで、去年まではあまり気にならなかった、というより、正直に言うと「変な靴」と思っていたのです(^^; 写真を見ていただくとわかると思いますが、ベルルッティはパディーヌという作業によって単一の色ではなく、何色もの色を塗り重ねあたかも油絵のような色ムラをわざと創り出しているのですが、そこがそもそも苦手だったのです(^^; 元々、靴は黒! と思っていた僕にとって、ベルルッティの靴は茶系のイメージが強い事もあり、「なんだかなあ・・・」という感じでした。

なぜ「靴は黒!」なのかというと、黒のトラウザースしか持っていないからなのですが(ジーンズも黒)、トップスのジャケットとかシャツに色物が多い僕のワードローブにとって、ボトムスの黒は定番だったわけで・・・。 藤色(とか紫とか・・)のジャケットに茶のパンツは合わせられないでしょう? グレーでもちょっと弱めだし。

ところが、ここ最近「茶」の靴に目覚めてしまったのです(^^; (スーツに黒の靴だと、ちょっと落ち着き過ぎちゃっておじさんくさいし、どうしても重い感じがそこはかとなく漂ってしまう) そして、してやられました! 黒と違って、茶はそれこそ千差万別の色目があるのですから! 深紅のワインのようなバーガンディ、アンティークウオールナットのようなチャコール、明るく若々しいアーモンド・・・。

いろいろショップを回り、イメージ通りの靴を探しました。 黒だとデザインだけですが茶は色目も入ってくるので、なかなか思い通りの靴に巡り会えません。 最初から明るめの色を履きこなす自信はないので(ワードローブの関係上)、あわせやすいダークなチャコール系と決めていましたから余計です。 オペルカ、ジョン・ロブ、ボノーラ、シルヴァノ・ラッタンツィ、ストール・マンテラッシ、エドワード・グリーン、サルヴァトーレ・フェラガモア・テストーニ (なんか、イタ靴ばかりですな)、あまりにも巡り会えないので、もう、ギルド・オブ・クラフツでビスポークしようかと思いましたよ、ほんとに。 でも、そうすると30万ぐらいはかかっちゃうんですよね・・・(^^; うーむ、悩む所です<普通悩まないって?

 

靴とか鞄って、探している時には良い物が見つからないって思いません? 何の気無しに入ったお店で「ああ! これこれ! こういうの良いなあ」と思いつつも、その時は買わずに帰り、後で探したがもう無くなっていて後悔する、結構そういうパターンってないですか? まあ、そういう信念(思い込み)がある僕にとって、まさにその通りの状況が展開されたわけです(^^; 

大体、茶系の靴なんて今まで気にしてなかったものだから、「そーいえばあそこの店に・・・」というのも全くなく、片っ端からお店をチェックし直すはめになったわけで・・・。 おかげでいろんな事がわかりました、茶系の靴の奥深さとかね(^^。 でも、奥深さがわかるのと、実際自分の買いたい(感性を直撃する)靴がないのとは全くの別問題なわけで、さすがに足を棒にした挙げ句、呆然となりながらの帰路はとても空しいモノがありました(;;。

そこで思い出したのがベルルッティです。 確か日本橋の高島屋に入っていたはずだから、ちょっと覗いてみようかな・・・、ぐらいの軽い気持ちだったのですが・・・。 ウインドウにディスプレイしてある実物を見てびっくり! 手に取るのもはばかれるような(履くなんてもってのほか!)美しい芸術作品のような靴が、鎮座ましましていたのでありました(^^。

さすがに、ベルルッティの名前は知っていても、ショップに入るのは初めてです。 まずは、そのルイ・ヴィトンを擁するLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)グループらしい高級感に、ちょっと気後れ(^^; 店員さんの「いらっしゃいませ」に引きずられるように店内へ。 溜息が出るほど美しい靴の数々を鑑賞(こういうのを眼福という)していると、「お試しになられますか?」と、セイレーンの歌のような甘い誘惑の声が。 いや、男性の店員さんだったんですけどね、もし履いてこれ以上気に入っちゃったら買っちゃうじゃないですか・・・一足10万はするというのに。 くうううっ(−−;

「はい、お願いします」自分がそう言っている声が聞こえました。

「では、おみ足を拝見させて頂けますか?」と言って、靴を脱いだ僕の足をさすったり掌で包み込んだりして細部の形を測り始める店員さん、いや、シューフィッター氏。 やおら立ち上がると、「まずは、こちらをお履きになって下さい」。 奥から取り出したるは、パディーヌ前の普通の色をしたアンディー。 ちょっときつい、特に横幅が。 「甲が高くていらっしゃるので、もうハーフサイズ上をおためし下さい」 うわー、ぴったりじゃん! それに、この履き心地は・・・。 軽くて包み込まれるような、絹を羽織ったとでもいうべきか・・・、もうまるで別次元の気持ちよさ。 ええーっ、なにこれーっ?! ああ、もう脱ぎたくない・・・このまま履いて帰りたい(^^;

その時私は気づくべきだったのだ・・・もうベルルッティ以外の靴は履けないのだと。

 

 

ををーっ! かっこいいなあ! 小説みたいじゃん(^0^/~~ ・・・・・と、トチ狂ってしまうほど気持ちよかったわけで。 ところで、試着されている方がもう1人いたんですが、「うわーっ、なんや、これ?! 靴ってこんなに履き心地が良いもんかいな!」と、叫んでおられました。 その方、僕も持っているフェラガモのビットモカシン(ラバーソール)を履かれてたのですが、あれってぴったりしすぎて足が苦しい感じがするので、そう叫ぶ気持ちもわかります(^^。 足をがっちりホールドされる感じが好きだという人もいれば、優しく包み込まれるのが好きという人もいるわけで、ベルルッティは後者の方には大推薦の靴だと思います。

靴好きの間では、ハンドソウン信仰だとかグッドイヤーウエルト信仰などのスペック至上主義が根強くありますが、僕はカジュアルならともかくドレスシューズでごつくて重いのは嫌い(マメも出来るし)で、マッケイ製法の軽くてエレガントなのが好みです。 仕事で履くわけではない(スーツ着る仕事じゃない)ので、完全におしゃれ用という選択なので、オールソール(ソールの総張り替え)が何度出来るとか、頑丈かどうかとかはあまり気にしません。 軽くて履き心地が良くエレガントで僕の心の琴線にビンビン来るものであるかどうかが一番で、そうなったらマッケイだろうがセメントだろうがノルベジェーゼだろうが気にしません(^^。 勿論こだわりの逸品なんてのは大好きなので、そういう蘊蓄やストーリーの付加価値があったりすれば、まさに文句なしです(^^。

靴なんて履ければ良いんだ、雨の日だって履ける丈夫なクラリーノがスーパーで3980円でいくらでも売ってるじゃないか、というこだわり(^^;を持った方もいらっしゃいますが、僕はやっぱり「ときめき」がないと買えないです。 安いからというだけでは心が動きません。 特に靴はそうです。 履いた時に背筋がしゃんと伸びるような靴、この靴の気品(パワー)には絶対負けたくないと思えるような靴。 そんな靴に出会えた僕は、今とても興奮しています。

 

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クラブ・ベルルッティ

一世紀以上の間、パリの紳士靴専門のビスポーク(注文靴)店として世界中の洒落者達を魅了し続けてきたベルルッティ。 独占的に使用を許された、抜群の伸縮性をもつヴェネチア・レザーと呼ばれる門外不出の逸品皮を使い、熟練職人の手によって作られる靴は、素晴らしい光沢とフォルムをもつ。 それは、他の追従を許さない洗練されたエレガントさを醸し出している。
 4代目当主兼チーフデザイナー マダム・オルガ・ベルルッティの美意識が隅々まで息づいたパリのお店には、彼女のデザインした靴の愛好家達が足繁く通う。 そんな顧客同士の交流も盛んになり、プルーストの愛好家であり、特に情熱に溢れた特別な人々を中心に、マダム・オルガは親睦会「クラブ・ベルルッティ」を結成した。

 

 「クラブ・ベルルッティ」のメンバーは世界的に有名な映画監督やクチュリエ、財界人まで多岐にわたり、中には親子代々オーダー靴の顧客だという企業家もいる(例えば、パブロ・ピカソ、アリストテレス・オナシス、フランソワ・トリュフォーなど)。 誰もが、それぞれの分野で成功を収めた一流の人々ばかりだが、ベルルッティの靴を通して共有する価値観はみな同じだ。  その第1回目の会合は、VIPが好んで利用するパリの5つ星、ホテル・クリヨンで開催された。 ディナーのあとマダム・オルガの「靴の美学」についての話を聞きながら、ゲスト達は自分の靴を、「パティーヌ」と呼ばれるマダム独特のテクニックによって磨き上げてゆく。  通常は、特別にブレンドした数種類のクリームと少量の水を布に交互に付けながらやさしく円を描くようにして靴を磨いてゆくのだが、「クラブ・ベルルッティ」では水の代わりに極上のシャンパンが用意されている。  集まったゲストの会話は、個性際立つベルルッティの靴の話に終始する。 そして独特な色合いや輝き具合を比べあい、真剣な表情で靴磨きの奥義を交換し合う。 贅沢でどこか神聖な儀式にも似たこの「クラブ・ベルルッティ」の会合は、ベルルッティのエスプリを最もよく表現しているといえるだろう。

 

 

ベルルッティのコレクションライン

現在ベルルッティにはいくつかのコレクションラインが用意されていて、全てのモデルは特許を取っている。 あのグッチさえもが、タトゥラインとクラブラインのコピーを販売して有罪判決(罰金200万フラン、全製品の回収)を受けた事は記憶に新しいが、それだけベルルッティのデザインが魅力的だという事だろう。

 

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■ベルルッティ青山本店
所在地:東京都南青山1-1-1 青山ツイン1階
URL :http://www.berluti.co.jp
電 話:03-5775-3451
営 業:11:00〜20:00(日祝 〜19:00)
定休日:月曜
年に2回オーダー靴の受注会を開催。製作期間は採寸から1年間くらい、半年後に仮縫いがある。1足 450,000円から。

■ベルルッティ日本橋高島屋店
所在地:東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋1階
電 話:03-3211-4111
営 業:10:00〜19:30

 

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